ArtistsKunitachi Shashin-kan
2025.05.17 sat – 06.01 sun

木村 恒介
木村恒介の写真作品は、二つの対比する要素を織り交ぜている。 写真を切り取り、それらを組み合わせることで、変容を可視化する作品を生み出す。 レイヤーを重ね、織り込む技法は、表と裏だけでなく、過去と現在、被写体の異なる側面など様々な要素を結びつける。 こうして二つの状態を対峙させることで、写真に収められた空間の儚さが浮かび上がる。 一枚の写真では捉えがたいものが、視覚的な重なりによって二つ要素の対話的なプロセスとなる。 鑑賞者は、二つの画像の断片から、新たな多層的なイメージを読み取ることを促される。 写真を組み合わせることで新しいイメージが生まれるが、常にその一部は不完全なままとなる。欠けた部分は、別の写真の断片によって置き換えられ、または覆い隠される。 この手法により、写真は「時間もしくは場所の狭間にある揺らぎ」を捉え、普段は目に見えない、場所の変遷や記憶を形作る微細な変化を浮かび上がらせるのである。
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